私のためだけの香り「あの夏の朝」

私がアロマテラピーを勉強しようと思ったきかっけは、

ある年の夏の早朝にあります。

もう20年以上も昔。

 

その日は日の出と共にすでに気温が高く、

湿度もマックスで、朝靄がかかっていました。

 

ベランダに続く扉を開けた途端に、

当時ベランダいっぱいに育てていたハーブたちの香りが、

ひとつの大きくて力強い塊となって勢いよく室内に飛び込んできました。

 

その瞬間、全身が洗われて生き返るような素晴らしい感覚に包まれました。

 

あの日のあの夏の朝のあの香りを残しておきたいと思って、

オリジナルアロマブレンドを調香しました。

これは、他の誰のためでもなく、私自身のための香り。

 

朝の気温や湿度や土やコンクリートの駐車場、裏の砂利歩道、それから当時住んでいた新築アパートの

建材の木の香り。

 

そういったものを表現するために

当時実際に育てていた複数のハーブから採取されたエッセンシャルオイルの香りと、

パチュリやベチバーなどを組み合わせて湿度と土の香りを、それから木のエッセンシャルオイルを軸にして

建材の香りを作りました。

 

今、私はこうして個人事業主としてささやかなサロンを経営しています。

本当にささやかです。だけど、好きなことを仕事にしているので、自分が心から好きなものは

安心してお客様やご受講者様にお伝えすることができます。

その価値に目覚めたあの朝は、私の原点であり続けると思うので、こうして香りを残して、

時々嗅いでは当時に想いを馳せ、何度も何度も初心にかえっては志を新たに頑張りたいと思います。